2025年の大河ドラマ「べらぼう」にも登場した長谷川平蔵と言えば、池波正太郎氏原作の時代物小説であり、テレビドラマでは中村吉右衛門が演じた「鬼平犯科帳」のモデルとなった実在の人物です。
実在の人物ではありますが、あまりにもドラマの鬼平のイメージが強くなっているため、実際のところ長谷川平蔵という人がどんな仕事をしていたのか、どのような立場だったのかなどよく知らないのですが、ネット上では長谷川平蔵の肩書である火付盗賊改方は世襲で代々引き継がれているのでは?などという書き込みを見かけました。
大河ドラマ「べらぼう」を見ていると、何だか何をしているのかよくわからない設定でもあったので、火付盗賊改方とは?という疑問をまとめてみました。
火付盗賊改方は世襲なのか
火付盗賊改方という役職が世襲なのかという疑問についてですが、結論から言えば世襲ではありません。
役職として任命されるものであり、その家が代々引き継ぐことはないのです。
ところが、世襲と勘違いされているのには理由があります。
それは、冒頭でも触れた「鬼平犯科帳」のモデルとなった長谷川平蔵の父親である長谷川 宣雄 も火付盗賊改方頭の役職にあったからです。
息子の長谷川平蔵の名は通称であり、本名は長谷川宣以 と言います。
親子ともども通称は長谷川平蔵 を名乗ったわけです。
火付盗賊改方頭としてもっとも有名になった鬼平が親子二代で同じ役職を任命され、同じ通称を名乗ったのであれば、世襲と思う人がいるのも不思議ではありませんね。
火付盗賊改方は世襲に近い
厳密には前述のように世襲ではないのですが、同じ家から火付盗賊改方頭が出ているのは長谷川平蔵のケース以外にもありました。
ただ、連続して任命されるわけではなかったりするので、やはりそこは世襲とは違います。
しかし現代でも世襲ではなくとも、同じ家から同じ職業の人が出ることはよくあることです。
例えば火付盗賊改方は今でいえば警察のような役職ですが、今でも警察一家というような呼ばれ方をするケースがありますから、そういう意味で世襲に近いというイメージを持たれるのではないでしょうか。
しかし、幕府の官職には世襲で引き継げるものもあったとしても、火付盗賊改方は火付けや強盗が多発した時代にできた臨時の役職だったため、選ばれるのは能力次第です。
能力がなければ職を解かれるのですから、世襲で引き継ぐ官職よりもずっとシビアだったの違いありません。
奉行との違い
時代劇で有名になった実在の人物と言えば、大岡越前や遠山の金さんこと遠山金四郎です。
どちらもお奉行様として、お裁き(今でいう裁判や審判)をするわけです。
裁判官のようでもあり、検察官のようでもありますが、広い意味で江戸の町を南北に分け、そこで起こる様々な問題を解決するのが奉行所の役目なので、今でいう市役所や区役所のようなことも受けるわけです。
どちらかと言えば、文官というのが奉行の役割であり、火付けや押し込み強盗のような凶悪な犯罪を取り締まったりするのは難しかったため、幕府が臨時の役職として火付盗賊改方という特別職を作ったと言われています。
それぞれ比較してみるとわかりやすいと思います。
| 項目 | 奉行 | 火付盗賊改方 |
|---|---|---|
| 性格 | 行政+司法の最高責任者 | 凶悪犯罪専門の特別警察 |
| 常設 | ⭕ 常設 | ❌ 原則臨時 |
| 担当範囲 | 広い(町政全般) | 狭いが超重い(放火・強盗) |
| 裁判権 | ⭕ 正式な裁き | ⭕ 事実上の裁断権あり |
| 身分 | 幕府の要職 | 奉行より下 |
| 権限の強さ | 制度上トップ級 | 実務では最強クラス |
まとめ
現代でも、たとえばトクリュウと呼ばれるような特殊詐欺などの犯罪やネット空間を悪用したサイバー犯罪には、特殊捜査班が設置されることがあります。
火付盗賊改方も、奉行所では取り締まるのが難しい犯罪が増えたことから生まれた臨時の役職だったのですが、ドラマの影響はとても大きいのでしょうね。

