2025年後半のNHK朝の連続テレビ小説は「ばけばけ」ですね。
島根県の松江を舞台に、小泉八雲とその妻をモデルに描かれています。
小泉八雲と言えば怪談を連想する人も多いでしょうが、その怪談は妻になる日本人女性が原点だったのですね。
ところで、島根県と言えばゲゲゲの鬼太郎の作者でもある水木しげるさんの出身地としても有名です。
怪談といい、妖怪話といい、なぜ島根県はそういう怪しげな話が多いのでしょうね。
島根県という土地に怪談や妖怪が根付いていた理由は何なのか、調べてみました。
島根県に妖怪や怪談が多い
島根県に怪談や妖怪話が多い理由として考えられることはいくつかあります。
出雲神話という強力な土台
島根県には出雲大社があります。
ここには日本全国の氏神様が神無月(出雲では神在月)旧暦の10月に集まり、縁結びの相談をすると言い伝えられています。
また、日本書紀や古事記などの神話の中心地として出雲は描かれてきたこともあります。
神秘的なことが受け入れられやすい風土があり、そうしたことから怪談や妖怪話が根付きやすかったと考えられます。
地理的な条件
島根という土地は中国山地の深い山々があり、日本海に面した荒海があり、川や湿地があり霧も多く発生する地形です。
そういう土地で起こる気象による自然現象は、もののけの仕業などとして語られやすかったことも要因なのではないでしょうか。
閉鎖的な土地柄
江戸時代までの島根は、交通の便が良いとは言えませんでした。
そのため、外から人が訪れることは少なかったと考えられます。
こうした環境が土地に伝わる妖怪伝説や怪談などが語り継がれてきた背景にも影響しているのかも知れません。
見えないものを排除しない文化
日本には島根に限らず各地に言い伝えや伝説があります。
その多くに「目に見えないもの」が出てきます。
もともとそういう目に見えない存在を受け入れやすい国民性なのでしょうが、島根の場合は神の存在がより近かったため、妖怪も身近な存在になったのではないでしょうか。
妖怪は幼い子供に教訓や道徳を教えるためにも用いられてきましたが、島根ではその妖怪のバラエティーも群を抜いているのは、古くから神と妖怪を受け入れてきたからだと考えます。
水木しげるの存在は大きい
妖怪文化が全国的に「島根のもの」と認識される最大の理由は、水木しげる(境港市出身)の存在です。
幼少期に地元の怪談を大量に聞いて育ち、それらの記憶から物語を作ったことは有名です。
また、島根・鳥取の民間伝承を妖怪漫画として再構築して土地の知名度を上げたことも大きな要因ではないでしょうか。
境港=妖怪の町というイメージを定着させた人ですから、その印象はとても強いものです。
小泉八雲に与えた影響
朝ドラ「ばけばけ」のモデルになった小泉八雲ですが、ドラマの中でも描かれているように、島根の松江に来るまでは新聞記者でした。
特別に怪談に興味を持っていたわけではなかったのですが、日本の古い文化が残っている松江に来たことで強い影響を受けたと考えられます。
もしも最初に滞在したのが東京だったのなら、怪談に出会うこともなかったかも知れません。
1890年代の松江は、
近代化が遅く、夜が本当に暗く、武家屋敷や古い寺が残り死や霊が日常の延長にあった町でした。
八雲自身が
松江は「日本の魂がまだ息づいている場所」
と書いています。
しかし土地柄だけではそこまで怪談にハマらなかったのではないでしょうか。
やはり語り部の存在が大きかったように思います。
松江の武家の娘であり、幼い頃から怪談や因縁話を聞いて育ちました。
そして語りのリズムや間を身体で知っていたことで聞く人を惹きつけたのではないでしょうか。
八雲は日本語が十分に話せなかったため、
怪談を「文字」ではなく「声」で受け取った
という点が極めて重要です。
これは東京に行ってからの文献調査では得られない体験でした。
八雲が魅了されたのは怖い話ではない
小泉八雲が日本の怪談に魅了された最も大きな要因は、死生観だと言われています。
ただ恐怖を煽るような怪談ではなく、その物語にある人の悲しみや愛情や憎しみなどに強く惹きつけられたのだと。
松江で彼が感じ取ったのは、
- 死者が完全には去らない
- 恨みや愛が形を変えて残る
- 人は自然や因縁の中で生きている
という、日本独特の感覚でした。『耳なし芳一』や『雪女』は、怪談であると同時に人の弱さや哀しさの物語です。
ただの文献として会談に出会っていれば、日本の怪談話が文学として世界に広まることはなかったのかも知れませんね。
まとめ
島根県の松江という土地にラフカディオ・ハーンが来たことは、怪談が日本文学として世界から認められる大きな要因になったわけです。
松江という土地に滞在しなければ、そういうことにはならなかったのでしょう。


