一寸法師のお話は、小さな体の男の子が鬼と対決するという内容です。
海外にも「おやゆび姫」という小さな女の子の童話があります。
そういえば、ジブリ映画の中にも「借りぐらしのアリエッティ」という小人を描いた作品がありました。
「借りぐらしのアリエッティ」は、イギリスの児童小説を原作としてアレンジされたストーリーということです。
このように、昔話や童話などには体の小さな人を主人公にしたお話が複数あるのです。
さて、日本で有名な「一寸法師」ですが、子供たちが読み聞かされている昔話は、もともとの内容と少し違うようです。
描かれていない部分は、子供に聞かせられないような内容なのか、気になりました。
一般的に知られている一寸法師との違いについて、掘り下げてみました。
「一寸法師」のあらすじ
ある老夫婦には子供がいませんでした。
子供を授かりたいと熱心に神様にお願いしていたら、小さな男の子が授かったのです。
しかしその子は一向に体が大きくなることはありません。
その小さな男の子は、一寸法師と呼ばれるようになりました。
一寸法師は大切に育てられて、勇敢で賢い少年になりました。
そして都に行って立派な武士になりたいと言います。
老夫婦に見送られて、針を刀として腰にさし、お椀の船をお箸で漕いで都を目指したのです。
都につくと、立派なお屋敷を見つけて、そこで家来として働かせてもらいました。
そのお屋敷の主人には、とても美しい娘がいました。
あるとき、お屋敷の娘と一寸法師が出かけた時に鬼に襲われてしまいます。
鬼は美しい娘をさらいにきたのです。
一寸法師が守ろうとしますが、あっという間に鬼に食べられてしまいます。
しかし鬼は苦しみ始めます。
なんと鬼の体の中から針の刀で攻撃していたのです。
あまりの痛みに鬼は一寸法師を吐き出して、逃げて行きました。
慌てて逃げた鬼は、願い事が何でも叶うと言い伝えられている打ち出の小槌を忘れてしまいました。
鬼の忘れ物の打ち出の小槌に願いをかなえてもらった一寸法師は、一人前の立派な体格の男性になり、屋敷の主人の娘と結婚して出世したのです。
描かれていない部分
「一寸法師」は、御伽草子という16世紀以前に書かれた古いお話がもとになっています。
時代の流れに合わせて、内容は少しずつ変化したようですね。
子供に読み聞かせる昔話には描かれていない部分については、色んなバリエーションがあります。
老夫婦に追い出された
昔話では、老夫婦にとても大切に育てられたことになっていますが、もとはそうでもなかったようです。
せっかく授かった子供でも、指くらいの大きさのままなので、気味が悪くなってしまいます。
化け物ではないかと怖くなった老夫婦は、家から追い出してしまい、仕方なく旅に出たのです。
ずいぶんとお話の印象が変わりますよね。
娘を手に入れるための裏工作
一寸法師が立派な侍になるために仕えたお屋敷の主人には、美しい娘がいて、一目惚れしてしまいます。
しかし大きくなれない体だけではなく、身分の違いもあるので、到底認められるはずもありませんでした。
そこで一寸法師は、娘が眠っている間に口元に米粒をつけます。
米粒は神棚に供えてあったものなのに、自分が蓄えていた米を娘に奪われたと言って大げさに泣いて芝居をしたのです。
それを見た屋敷の主は、自分の娘が十分な食事をしているのにも関わらず、米を盗み食いしたことに激怒してしまいます。
怒りの形相で娘を追い回す主から救い屋敷を出たあとに、鬼に襲われるというストーリーです。
結末は大きく差があるわけではないですが、娘に濡れ衣を着せて連れ出すところは、一寸法師のイメージとは違います。
賢い一寸法師は、ただ賢いだけじゃなくずる賢かったわけです。
じつは高貴な生まれの老夫婦
一寸法師が鬼を退治したことが評判になり、その噂が宮中にまで伝わると、一寸法師は両親とともに宮中に呼ばれるほどになる。
そこで両親が高貴な生まれで、無実の罪で追放されていた人物の子孫であることがわかる。
一寸法師が高貴な位の家系だったことから、さらに宮中では人気者になり、高い位に就いて大出世したという後日談もあるのです。
小人への憧れがあるのだろうか
「一寸法師」のお話は、とても古いので現代に至るまでには、色んなアレンジがされていると思います。
根幹にあるのは、大人の指の長さくらいの小さな体の男の子が主人公であるということ。
コロボックルのような小さな妖精の伝説があるように、昔は本当に小人が存在したのではないかと考えたくなります。
手の平に乗るような人形のような大きさなのに、普通の人間と同じようにしゃべったり、動いたりする妖精の存在には、多くの人が憧れたのではないでしょうか。
まとめ
小さな一寸法師が勇敢に鬼に立ち向かい、見事に撃退して願いを叶えるという物語は、子供たちに夢を与えると思います。
なので、もとになったお話の中の部分が描かれなかったとしても、それは無理もない気がします。
昔話や童話がアレンジされていくのは、子供に受け入れやすい内容にするからでなのでしょうね。

