「わらしべ長者」という昔話は、物々交換によってお金持ちになるという結末です。
今でもバラエティ番組でお笑い芸人が現代版わらしべ長者に挑戦するなど、多くの人々に親しまれています。
物々交換によって、苦労せずにお金持ちになるなんて、夢のような話です。
現実にはそんなに上手くいくはずもないのでしょうが、夢を抱かせる話ではありますよね。
ところで「わらしべ長者」のお話には、いくつかのバリエーションがあるのを知っていますか?
大筋は変わらないのですが、結末に違いがあります。
パターンによって、お話が伝えようとすることも違うようなので、その違いについて考えてみました。
「わらしべ長者」のあらすじ
「わらしべ長者」という昔話は、幅広い世代に知られていると思います。
3つのパターンのお話が有名なので、それぞれのあらすじをまず見ていきましょう。
パターン①
貧乏な暮らしに疲れてしまった一人の男がいました。
どんなに真面目に働いても、一向に暮らしが良くならないことを嘆いていました。
何とか暮らし向きを良くするために、観音様に願掛けをしたところ、「これから初めて手にするものを大切にして、旅に出るように」というお告げがありました。
男はそのお告げの通り旅に出ました。
歩き始めてほどなく、男は石につまずいて転んでしまいます。
その時に思わず掴んだのが1本の藁(わら)でした。
観音様のお告げを守り、男はその藁を大切に手に持って歩き始めると、その藁の先にアブがブンブンと飛び回ります。
男はそのアブを捕まえると、藁の先に結びつけたのです。
藁に結ばれたアブがクルクルと飛ぶ様子を見て、すれ違った子供が面白がり、それを欲しいと言い出します。
しかし男は観音様のお告げなので、藁を譲ろうとしませんでした。
すると子供は駄々をこねて大泣きし始めます。
子供の母親は、男に「このミカンと交換してもらえないか」とお願いするのです。
男は困った様子の母親に負けてアブ付の藁とミカンを交換します。
男はミカンを手にして歩き始めると、喉の渇きを訴える旅人に出会います。
喉の渇きに苦しむ旅人は、男の手にしているミカンの代わりに上等な反物を差し出しました。
次に出会ったのは、馬に乗った侍とその御付きの者たちです。
侍が乗った馬は、具合が悪いらしく、歩けなくなっていました。
しかし先を急がなければいけない侍は、馬をその場に残して行きます。
男は侍の家来に反物と馬を交換して欲しいと申し出ます。
歩けなくなった馬に水を飲ませて、やさしく介抱すると馬は元気になってくれました。
男は馬にまたがり旅を続けると、大きな屋敷の前を通りかかりました。
ちょうどその屋敷から出てきた男は、今から旅に出るところだったため、男の馬を譲って欲しいと言います。
もう屋敷には戻らないので、馬と屋敷を交換するという申し出です。
男はその申し出を受け入れて、馬と屋敷を交換しました。
そして、屋敷の主の田畑で地道に暮らして大きな富を手に入れたのです。
パターン②
もう一つの結末は、馬と屋敷を交換するところまでは同じです。
屋敷の主は、旅に出ている間に男に留守番をして欲しいと言います。
留守の間は屋敷も田畑も自由に使って良いと言い、さらにもしも3年経っても戻らなければ屋敷も田畑も全て譲るというのです。
男は留守の間、屋敷の手入れをして、田畑を耕して真面目に暮らしていました。
3年経ち、さらに月日は流れても屋敷の主は戻らなかったので、男は藁1本から大きな屋敷を手入れることになったのです。
パターン③
3つ目は、喉の渇きに苦しむ旅人が、お金持ちの娘だったという設定なので、違いがハッキリしています。
その娘は、自分を助けてくれた男との結婚を望みます。
お金持ちの娘の婿になった男は、豊かな暮らしを手に入れたのですが、その後も真面目に働き続けてさらに裕福な家にしたことから「わらしべ長者」と呼ばれました。
「わらしべ長者」から伝わる教え
「わらしべ長者」の結末には、ご紹介した3つのパターンの他にもあるようです。
ただ、少しお話の内容が違ったとしても、伝えたいことには大きな違いはありません。
貧しい男が成功者として富を手にするでには、
・物を大切にする
・困った人を助ける
・生き物を慈しむ
・約束を守る
・真面目に働く
このようなことの積み重ねがありました。
「わらしべ長者」のお話は、物々交換によってラクして稼ぐことだと勘違いされることがあります。
ですが、きちんと真面目に働くこと、人にやさしくする支え合いの心の大切さを伝えているのではないでしょうか。
まとめ
「わらしべ長者」のお話は、1本の藁がどんどん価値のあるものへ変わっていくことにワクワクします。
ですが、藁1本でも価値のあるものに変えられるのには、それなりの理由があることを考える必要がありますね。
深い意味が込められているのだと思うと、また違う見方ができそうです。

