「舌きりすずめ」という有名な昔話があります。
子供のころに知ったとき。舌を切られてしまうすずめが痛々しくて、とても可哀想だったので、嫌いな部類の昔ばなしでした。
しかし、大人になってからふと思い出してみると、いくつかの疑問を感じました。
いったいなぜ?と思ったことを考察してみました。
「舌きりすずめ」のあらすじ
あるところに心のやさしいおじいさんと意地悪なおばあさんが暮らしていました。
おじいさんは、庭に飛んでくるすずめを可愛がっていました。
そんなやさしいおじいさんにすずめも懐いていました。
ところがある日、すずめが洗濯ノリを食べてしまいました。
それを見たおばあさんは怒ってしまい、すずめをつかまえて舌をハサミで切ってしまったのです。
すずめは慌てて山へ飛んで行ってしまいました。
おばあさんからその話を聞いたおじいさんは、すずめを探しに山に入っていきます。
すずめを探しながら歩いていると、やっと舌を切られたすずめに会えました。
おじいさんがすずめにあやまると、「わざわざ来てくれてありがとうございます」とお礼を言って、おじいさんにお土産を渡そうとします。
すずめは「大きい箱と小さい箱のどちらにしますか?」と聞きます。
おじいさんは「土産なんて要らないが、どうしてもというのなら小さい方をいただくよ」と小さい箱を持って家に帰りました。
箱を開けると、大判や小判、高級な反物などのお宝が入っていたのです。
おばあさんは喜びますが、大きい箱ではなく小さい箱を選んだおじいさんを責めます。
「私が大きい箱をもらってくるよ」とおばあさんが山へ向かいます。
すずめを見つけると、さっそくお土産を出すように言います。
すずめは黙っておばあさんに大きい箱を持たせ飛び立っていきました。
おばあさんは家に持って帰るまで待ちきれず、その場で箱を開けると、中から出てきたのはお宝ではなく、ヘビやムカデなどがウジャウジャと・・。
驚いたおばあさんはその場から走って逃げました。
「舌きりすずめ」の疑問点
「舌きりすずめ」のあらすじをあらためて見ると、やはり疑問なところがいくつかあります。
舌きりすずめが山では人間と会話ができるというのは、お話の中のことなのでスルーします。
夫婦でいる理由
まずはじめに感じたのは、なぜ心のやさしいおじいさんは、意地悪なおばあさんと夫婦になっか・・という疑問です。
他の昔話では、やさしいおじいさんに対して意地悪な人は近所の人が多い印象です。
ですが、このお話ではやさしいおじいさんと一緒にいるのが意地悪なおばあさんなのです。
なぜそういう設定にしたのか、不思議だと思います。
すずめが洗濯ノリを食べた理由
すずめはおじいさんには可愛がられていましたが、おばあさんは違ったはずです。
それなのに、どうして洗濯していたおばあさんが使おうとしたノリを食べてしまったのでしょうか。
お土産を選ばせた理由
山へすずめを探しに行ったおじいさんにお土産を渡すのに、なぜわざわざ大きい箱と小さい箱を選ばせたのか・・。

おじいさんが欲ばりではないことを確かめたかった?

それで後からおばあさんが大きい方を取りに来ると予想して、仕返しのためにそういう筋書きにしたのか?
だとすれば、すずめの方もなかなかの策士ですよね。
「舌きりすずめ」の考察
「舌きりすずめ」の疑問点から、この話が何を伝えようとしているのか考察します。
すずめに罰を与えて舌を切るという残酷なことをしたにもかかわらず、さらに欲張って大きな箱を取りに行ったおばあさんがひどい目に遭っています。
わかりやすいところでは、「欲張ってはいけないよ」という教訓でしょう。
しかし、もっと深いところを考えると、おじいさんにも問題があると思うのです。
そもそも、自分の妻が意地悪であれば、可愛がっているすずめにも注意を払うべきです。
危険なおばあさんに近寄らせないように、気を付けるのがホントのやさしさでしょう。
さらにもう一点あります。
お土産をもらったことだけ言えばいいのに、大きい方と2つから小さい箱を選んだのだとおばあさんに伝えたのです。
それでおばあさんが大きい箱を取りにいくわけです。
そう考えると、おじいさんとすずめがおばあさんを懲らしめるために仕組んだとも考えられます。
まとめ
「舌きりすずめ」のすずめは、おじいさんの性格から考えて、大きな箱を選ばなかった事実を正直におばあさんに伝えると考えていたという設定なら、ちょっとすっきりします。
舌を切られて哀れなすずめが気の毒だと思っていただけの子供の頃とは、違った視点で見てみるのも面白いものです。

