弁慶はほんとうに立ったまま絶命したのか!立往生は伝説なのか!

伝説の人

弁慶といえば、源義経に忠誠を尽くした人物として有名ですよね。

義経がまだ牛若丸と名乗っていた頃に京都で出会った時から、最期に立ったまま絶命したというエピソードまで伝説の宝庫のような人です。

弁慶と義経の関係を描いた歌舞伎の演目「勧進帳」も、日本人の心に沁みるエピソードです。

しかし、その中でもやはり最期の時の様子は壮絶です。

義経が最期を迎えるまで、敵の前に立ちはだかり、無数の矢を受けながら立ったまま絶命したという話から「立往生」という言葉が生まれたほどです。

ですが、どれほど弁慶が強靭な肉体の持ち主だったとしても、ほんとうに立ったまま絶命したのか・・・という疑問は拭えません。

私ごとき一般人が考えることなので、多くの歴史学者も調べていることでしょうが、証明するのは難しいですよね。

なぜ弁慶の立往生という伝説が残ったのか、その理由について考察してみたいと思います。

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弁慶の人柄

武蔵坊弁慶という人は、僧兵だったと言われていますが、あまりにも乱暴者過ぎるため比叡山から追い出されたという説もあります。

牛若丸と出会った時も、粗野で乱暴な悪役イメージで描かれることが多いですよね。

出会った武士から刀を奪い、千本集めるという試みをしていたとも言われています。

あと1本で刀が千本集まるときに、京都の五条大橋で牛若丸に出くわして、その野望は叶わなかったというストーリーが残っています。

これに関しては、お話を盛り上げるための脚色である可能性が高いのですが、乱暴者として恐れられていた弁慶を懲らしめるために牛若丸が目の前に現れたと考えるのが自然かと思います。

牛若丸と出会い、彼の人柄に惹かれた弁慶は忠実に尽くす部下になるわけですから、ほんとは純粋で良い人だったのでしょうね。

ただ、弁慶の生い立ちは親に望まれぬ子供だったという説があるので、親の愛情を知らずに育ち、正しいことを教えられる機会に恵まれなかったので乱暴者になってしまったと考えられます。

まともな愛情を知らずに生きてきた弁慶が、初めて尊敬できる人物に出会ったのではないでしょうか。

純粋過ぎるため、融通がきかない一面もあったのかも知れません。

ですが、義経を守るためなら、どんなこともい問わないという覚悟が揺るぎなかったのではないでしょうか。

それがよくわかるのが、歌舞伎の演目にある「勧進帳」です。

義経が兄である源頼朝に追われているときに、関所で義経一行ではないかと疑われます。

その時に弁慶が義経を何度も何度も杖で打ったのです。

さすがに主君を殴るなんてことはしないだろう・・・と疑いを免れることができたというエピソードです。

自分を打ちつけた弁慶を咎めることもなく、そのおかげで助かったと言える人だったので、弁慶も最後まで尽くしたいと思ったのではないでしょうか。

立往生の意味

立往生の語源とされるのは、弁慶が立ったまま絶命したという言い伝えです。

しかし、今はそのような壮絶なエピソードとは離れた意味で使われています。

何かの原因で途中で止まり、先に進むこともできず、目的地にたどり着けない状態のこと

これが立往生の意味です。

ちなみに、往生とは

仏教用語でこの世を去り、極楽浄土に往く

ことです。

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弁慶の立往生の考察

弁慶の立往生は、最期まで義経を守る忠誠心の表れのように言われます。

もちろん、本人は命が消えるまで守るつもりだったと思います。

でも、その思いだけで立ったまま絶命しても義経がこもっていたお堂の入口を守れるはずありません。

しかし、伝説として弁慶が立ったまま亡くなっていたと言い伝えられているからには、そう見える状態であった可能性は高いのでしょう。

人間が亡くなると酸素が筋肉に届かなくなるので、筋肉が硬直します。

死後硬直と呼ばれる現象です。

この死後硬直が起こるまでの時間は、一定ではありません。

心臓が止まってから、死後硬直が早く起こるのは、すでに筋肉に酸素が少ない状態にあると考えられます。

そこから考えると、弁慶は最後まで敵と激しく戦っていたので、全身の筋肉を使っていたでしょう。

その状態で亡くなれば、筋肉の酸素が低下しているので死後硬直が早く起こっても不思議ではありません。

つまり、激しく戦いながら「もうダメだ」と義経のこもるお堂の入口に立ちはだかり、雨のような矢を浴びて絶命します。

仁王立ちの状態で心臓が止まり、筋肉の硬直も間もなく始まり、立ったまま絶命して立往生と言われたと考えられるのです。

まとめ

弁慶の立往生は、死んでもなお主君を守ろうとする忠実な家臣の姿のように言われます。

本人の気持ちを推し量って、そのように言われるのではないかと考察します。

人体の構造として、死後硬直が早く起こって起立状態のまま亡くなるのは、不思議なことではないようです。

 

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