阿弖流為(アテルイ)の伝説ともののけ姫のアシタカのつながりとは!

伝説の人

阿弖流為(アテルイ)といえば、8世紀末に実在した人物とされています。

東北で生きていた蝦夷(えみし)の族長であり、大和朝廷が北を制すときに抵抗して朝廷軍を苦しめたと言われています。

阿弖流為の伝説は、小説や映画、ドラマ、舞台などでも描かれています。

他民族だった日本が、朝廷によって統一されていく歴史の中で、かなり手強かった相手だったので、伝説的に語られることが多いのではないでしょうか。

私は阿弖流為が主人公になった舞台を観てからというもの、伝説に魅せられていました。

なぜそんなに強く阿弖流為伝説に魅せられたのかというと、ジブリ作品の「もののけ姫」とのつながりを感じてしまったからです。

阿弖流為ともののけ姫の関係について、考えてみました。

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阿弖流為が朝廷に抵抗した理由

阿弖流為は、現在の岩手県奥州市あたりの蝦夷の族長と伝えられています。

奈良時代から平安時代にかけて、朝廷が東に進出するにあたり、自分たちの生きる場所を守るために戦います。

朝廷のある西の国から遠く離れた東の国まで統一しようとした理由として考えられるのは、多民族国家ではなく統一民族国家にすることで、強い国にしたかったのではないでしょうか。

海に囲まれているとはいえ、海の向こうの異国の脅威をすでに感じていたので、1つの民族に統一してより強い国を作りたかったのではないかと考えます。

しかし、阿弖流為などが生きていた東の国から見れば、異文化の人たちです。

自分たちの暮らしや文化を奪われると思えば、抵抗するのも当然ではないでしょうか。

朝廷が蝦夷を征伐しようとする前は、蝦夷側は上手く交流をして共存しようとしていたという説もあります。

お互いが認め合うことができると思っていたのに、朝廷はそれを許さなかったのではないでしょうか。

阿弖流為たちは、朝廷軍を迎え撃ち、苦戦させます。

しかし、征夷大将軍の坂上田村麻呂率いる大軍には敵わず、敗北することになります。

蝦夷の族長として、阿弖流為は降伏したのは仲間への攻撃をこれ以上続けさせたくなかったからだと解釈する説が多く見られます。

坂上田村麻呂は、阿弖流為が蝦夷たちを上手くまとめて朝廷に従うように導くと思い、命を助けて返そうと考えていました。

しかし朝廷の役人たちがそれを許さず、処刑されてしまいます。

とても悲しい伝説の人です。

阿弖流為たち蝦夷は、侵略したわけでもなく、ただ東北という地で生きてきただけです。

生きる場所を守りたかっただけのシンプルな戦いだったので、仲間を守るために命を投げ出して交渉したかったのだと思うのです。

それが全く聞き入れられなかったわけですから、さぞ悔しかったはずですよね。

阿弖流為の伝説に魅せられてしまうのは、その悲しさを感じてしまうからなのです。

もののけ姫の時代背景

私が阿弖流為ともののけ姫のつながりを感じたのは、アシタカの村人たちの姿から蝦夷だと思ったからです。

セリフの中に蝦夷という言葉があったかどうかはハッキリ記憶していませんが、パンフレットには「エミシの一族」という文言がありました。

大和との戦いに敗れて、北の国でひっそりと暮らしていたエミシの一族と。

もののけ姫の時代背景は、室町時代です。

朝廷の蝦夷征伐は、阿弖流為の死後も続いていましたが、何度か中断しています。

今の秋田県あたりを北限として、それ以上は進軍しなかった時代もあったので、蝦夷たちは北の地で静かに生きていたのだと思います。

室町時代は、足利将軍の時代です。

京都に幕府が置かれ、武士たちが朝廷を守っていました。

すでに国を治めていた幕府にとっては、北の地でひっそりと生きる蝦夷はすでに敵ではなかったのだと思います。

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アシタカたちの暮らし

蝦夷は、大和との戦いに敗れたからひっそりと暮らしていたとも考えられます。

ですが、もともと蝦夷は自然の中に根付いて生きてきた山々の民だったと考えられています。

戦いを好んだわけでもなく、それぞれの民族が独立して生きてきたのですが、大和王朝という大きな敵に向かうため、小さな民族が力を合わせただけだったと言われています。

そのため、戦いに敗れて北へ逃れからも、あえて他民族と積極的に交流せずに生きてきたと考えられます。

だからこそ、アシタカのような若者のキャラクターが蝦夷の一族だという設定になったのではないでしょうか。

もののけ姫の時代背景が室町時代とすれば、阿弖流為が大和に処刑されてからすでに500年ほどの年月が流れたことになります。

500年もの間に、人々が便利で豊かな暮らしを求めるために犠牲になった自然や生き物たちをどう見るのか・・。

朝廷や幕府とは一線を画して、自然とともに生きてきた蝦夷だからこそ、フラットな目で見られると考えたのではないでしょうか。

まとめ

阿弖流為の伝説から蝦夷を知った人も多いと思いますが、もののけ姫から蝦夷を知った人も相当数いると思います。

色々な民族を1つに統一させるために、多くの犠牲があったこと。

そして、人間が欲望のために自然を破壊し続けてきたことを改めて考える機会を与えてくれた作品でした。

しかし、1997年にもののけ姫が公開されてからほぼ四半世紀が経ちますが、もはや環境破壊は手遅れのように感じます。

蝦夷のようにひっそり生きる場所も、もう残されないのかも知れませんね。

消えゆくのに・・ということでしょうか。

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