太鼓持ちというのは、ご機嫌取りが上手い人のことです。
どんな人でもおだてて、お世辞を言って、いい気分にさせるので、太鼓持ちタイプは年上の人から可愛がられたりします。
職場で上司や先輩から可愛がられるタイプよね
世渡り上手な人!
でも、なぜ太鼓持ちなのか、不思議に思ったことはありませんか?
太鼓持ちとは、どんな人のことなのか、由来をさかのぼってみました。
太鼓持ちとは
太鼓持ちとは、人をおだてて気分良くさせるのが得意な人のことではなく、職業名なんです。
太鼓持ちは幇間(ほうかん)とか男芸者とも呼ばれていました。
男芸者という別名が一番わかりやすいと思います。
つまり、お座敷を盛り上げる男芸人のことなんですね。
お座敷で宴席などを催すと、芸者さんが華を添えるのは知っている人も多いでしょう。
ですが、昭和の初期まではお座敷遊びには男芸者を呼ぶのは珍しくなかったそうです。
太鼓持ちの由来
男芸者、幇間という呼び名もありますが、太鼓持ちが世の中には一番浸透しています。
そもそも太鼓持ちというからには、男芸者は太鼓を持ってお座敷に上がったのだと思われがちです。
太鼓を持って調子を上げる男芸人がいたから、それが由来だという説も確かにあります。
ですが、そうではなく太閤秀吉のご機嫌とりをする御伽衆(おとぎしゅう)という男性たちが由来だという説もあるのです。
太閤を持ち上げる様子から、太閤持ちとなり太鼓持ちに変化していったというわけですね。
太鼓持ちは実在するのか
太鼓持ちと呼ばれる芸人は、現在でも数人は存在するようです。
芸人として師匠から芸を学んだ太鼓持ちは、どんどん少なくなっているので、今後はもしかしたら1人もいなくなるかも知れません。
どもども太鼓持ちというのは、お座敷での宴席に呼ばれる芸人なので、お座敷遊びをする人が少なくなれば、必然的に需要もなくなってしまいます。
ただ、明治から昭和にかけて存在した太鼓持ちの中には、経済界、政界の大物から重宝されたと言われています。
昼間の時間に、芸者も呼ばす、ただ話を聞いてくれる相手として太鼓持ちが呼ばれることもあったとか・・。
重大な責任を追う立場の人にとって、何のしがらみもない相手との会話は、とても心が癒されたのではないでしょうか。
太鼓持ちの意味が変化する
太鼓持ちは、もともと芸人の職業の一種だったわけですが、今ではほとんどいません。
ハッキリとした人数はわかりませんが、東京の浅草に5~6人くらい。
全国すべて含めても、10人もいないのではないかと言われています。
それなのに、世の中では太鼓持ちという言葉だけは残っています。
太鼓持ちは職業とは知らずに、お世辞を巧みに使い、ご機嫌取りが上手な人のことをそう呼ぶ人がほとんどだからです。
八方美人と同じように、太鼓持ちは使われています。
太鼓持ちが登場する落語
太鼓持ちは、遊郭があった時代が全盛期だと言われています。
芸者と一緒に遊郭に出入りをして、金払いの良い客に取り入っては、衣食住の面倒まで見てもらう太鼓持ちもいたそうです。
ただ、正式な?というのかわかりませんが、きちんと師匠のもとで修業をした太鼓持ちは当時からそれほど多くは存在せず、野太鼓と呼ばれたフリーの芸人が多かったようです。
落語の中には、太鼓持ちが登場する噺がいくつかあります。
有名な演目が「鰻の幇間」です。
ご馳走してくれるお客を探してウロウロとしていた太鼓持ちが、まんまと騙されて、見ず知らずの男の昼食代からお土産代まで払わされ、お気に入りの草履まで奪われてしまうという間抜けな話です。
おだてて、調子に乗らせることで生計を立てるのは、男の職業として見下されていた時代なので、落語では間抜けなキャラクターとして描かれることがほとんどだったようですね。
まとめ
お座敷遊びを経験したことがない人の方が、圧倒的に多い時代です。
男芸者と言われても、ピンとこないですよね。
ですが、同じ男なので気持ちが理解しやすいのではないでしょうか。
芸人というよりも、究極のサービス業だったのかも知れません。
今でも太鼓持ちはいるそうですが、お座敷遊びをする機会はたぶんないので、その芸を実際に見ることは難しいのでしょうね。