「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」という童話は、短いお話なのですが印象に残りやすいお話です。
とくに幼い女の子が読むと、強く記憶に残るのではないでしょうか。
この童話は、少しだけシンデレラとも重なる部分があります。
しかしシンデレラとは違い、批判されたこともあったようです。
「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」のお話に賛否があった理由について、考察してみました。
「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」のあらすじ
ある国に結婚相手のお姫様を探している王子様がいました。
その王子は、本物のお姫様としか結婚したくないと言い、世界を回って色んなお姫様と会いました。
しかし、本物のお姫様にはなかなか出会えません。
王様も女王も、王子が納得できる本物のお姫様はどこにいるのかと悩んでいました。
ある嵐の夜のことです。
城の扉をたたく音がしました。
開けてみると、そこにはずぶ濡れになった若い女性が立っていました。
洋服も靴もびしょ濡れで、靴の底はずいぶんとすり減っていました。
その女性は、自分はある国のプリンセスだと言うのです。
城の女王はそれを聞いて、本物のプリンセスかどうか確かめてみようと思ったのです。
その女性を案内する部屋のベッドのマットレスの下にエンドウ豆を1つ置いておくように召使に命じます。
しかもマットレスを20枚、フカフカの布団を20枚も重ねたのです。
その部屋の女性を通し、「ゆっくりお休みなさい」と言ってドアを閉めました。
翌朝、女王は女性に問いかけます。
「よく眠れましたか?」と。
するとその女性はこう答えました。
「いいえ。ベッドに何か固いものがあって、体が痛くてほとんど眠れませんでした」と。
何重にも重ねたマットレスや布団の下に、たった1つのエンドウ豆があるだけで痛くて眠れないというのですから、この人は本物のプリンセスに違いないと確信したのです。
王子はその女性をお妃として迎えて、幸せになったというお話です。
なぜ批判されたのか
この「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」という童話は、子供たちには人気があったのですが、大人たちからはあまり評判がよくなかったようです。
その理由は2つあります。
過剰にデリケート
このお話を子供が読むと、お姫さまはすごくデリケートじゃないといけないと思い込ませるとして、批判を受けたことがあります。
遠慮しない性格の姫
本物のお姫様として選ばれた女性ですが、女王から「よく眠れましたか?」と聞かれたときに「いいえ」と言って、「固い物があって眠れなかった」と言ってしまいます。
普通に考えれば、嵐の中で助けてもらったのですから、少々寝心地が悪かったとしても、お礼を言うべきでしょう。
それなのに遠慮なく言ってしまうところは、大切に育てられ、いつも周りから気を使われる立場で育ったプリンセスは違います。
大人たちとしては、そういう本物のお姫様だとしても、そういう無遠慮な人間になって欲しくないと考えるので、批判的な評価をする人も少なくなかったようです。
シンデレラとの違い
お姫様探しと言えば、シンデレラも有名ですよね。
ガラスの靴を手がかりに探す王子と、本物のお姫様を探す王子が重なる部分です。
しかしシンデレラは、自分の身分を隠そうとする奥ゆかしさがあります。
それに対して「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」のヒロインは、どちらかと言えば図々しくて、奥ゆかしさとは程遠い性格という印象を受けます。
似ている部分はありますが、シンデレラの方がプリンセスの物語としては評価が高いのではないでしょうか。
まとめ
「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」というお話は、親が子供に読み聞かせるときに少し違和感をおぼえるのも理解できる部分がありました。
子供のころには気が付かなかったのですが、遠慮もなく図々しい物言いができるのがプリンセスというのは、子供に悪影響を与えると心配する声があるのもわかるような気がします。