グリム童話に収録されているお話の中には、大人も子供も感動するような物語が多数あります。
その一方で、子供には意味を理解するのが難しい内容や、大人が読むと首を傾げたくなるような内容もあります。
「星の銀貨」という物語は、シンプルな内容でメッセージ性の強い童話なのですが、大人としては素直な気持ちで子供に読ませたい思わない人もいるようです。
その理由とは・・。
「星の銀貨」という童話に大人が何を感じるのか、考えてみましょう。
「星の銀貨」のあらすじ
昔の話です。
両親が死んでしまい、住む家もなくなり、眠る場所も失った女の子がいました。
その少女が持っているものといえば、心やさしい人が分けてくれたわずかなパンだけでした。
こんなにつらい状況でも、この子はとても心やさしく、純粋に神を信じていました。
少女は神の救いを求めて、森のほうへ歩き出します。
するとそこへ男が近寄ります。
何も食べていないという男は、少女が持っているパンを分けて欲しいと言います。
少女はせっかくもらったパンなのに、男に与えてしまいます。
そして少女は、その男に「神様があなたを祝福してくれますように」と言い残してまた進みます。
すると今度は「頭が寒くてたまらないんだ」と泣いている子供に出会います。
少女は自分がかぶっていた頭巾をその子に渡しました。
するとまた上着がなくて困っている人に出会います。
少女は上着を渡すと、とうとう森に着くころにはシャツだけになっていました。
森に入ると、今度はシャツを求める人に会います。
少女は誰もいないのだから、シャツがなくても誰にも見られることはないだろうと思い、シャツを脱いで渡してしまいました。
何もかもなくなってしまった少女に、星が突然降ってきたのです。
気が付くと、少女は上等な生地のシャツを身に着けています。
降ってきた星は銀貨になり、少女のシャツのポケットに入りました。
その後の少女の人生は、飢えや貧しさに苦しむこともなく豊かな暮らしを送ることになりました。
「星の銀貨」に感じること
「星の銀貨」を読むと、どんなにつらい状況で生きていても、困った人を救おうとする気持ちを大切にしなければいけないと伝えています。
神様を信じる気持ちがベースにあるからこそ、困っている人を見て向ぬふりはできない少女が最後には幸せになるという結末が少し不思議過ぎるのですが、信仰心があれば神様が救ってくれるだろうと思わせる強いメッセージ性がありますね。
大人はこう思う
「星の銀貨」のような物語を子供に読み聞かせると、信仰心を持つことを大切に思うようになる子もいると思います。
大人としては、子供が素直にそう感じて欲しいはず。
ですが、大人の本心は子供に願うこととは違うのではないでしょうか。
自分のことを後回しにして、すべてを失っても神様を信じるのは不自然で無理があり、とても子供に真似して欲しくないと感じる人も少なくないのです。
支え合い、助け合い、困ったときはお互い様。
そういうキレイごとは、本心では「無理」と思っており、自分や自分の親しい人だけが成功者になればいいと考えているのではないでしょうか。
まとめ
「星の銀貨」の主人公のように生きて欲しいと願ったとしても、その気持ちをもったまま大人になれるのは奇跡に近いことなのでしょう。
生きているうちに、小さな傷をたくさん作り、たくさん悩んで行くしかないのです。