「注文の多い料理店」は、宮沢賢治作の短編小説です。
絵本にもなっていますが、子供の頃にこの物語を読んで、ひどく恐ろしい気持ちになったことを思い出しました。
ですが、このお話はただ怖がらせるだけではないのです。
宮沢賢治が何を伝えるために、この物語を書いたのか、推察してみようと思います。
「注文の多い料理店」のあらすじ
西洋の紳士が山で狩猟をするときのような装いをした2人の男。
山の案内役と2頭の狩猟犬と一緒に山に入りました。
ところが案内役とはぐれてしまい、2頭の犬も突然死んでしまいます。
「なんだ、案内役に払った金も、犬を買うために払った金も損したな」と男たちは困っていました。
その時、風が吹きました。
すると、灯かりを見つけました。
その灯かりは「山猫軒」という料理店でした。
お腹を空かせていた2人の男は、喜んでその店に入ります。
しかし、店に入ってもなかなかテーブルに案内されません。
帽子と外套と靴を外してください
金属製のものはここに置いてください
クリームを顔や手足に塗ってください
耳の中にもきちんと塗ってください
頭に瓶に入った香水をふりかけてください
塩をあなたたちのカラダに揉み込んでください
はじめは何とも思わなかった2人も、さすがに気が付きます。
この料理店は、料理を食べさせてくれる店ではなく、自分たちを食べるために誘い込んだのだと。
そのとき、死んだと思ったはずの2頭の猟犬が飛び込んできて、危機一髪で男たちは山猫軒から逃げることができました。
しかし、2人の男の顔はあまりの恐怖に歪んだまま、元に戻ることはありませんでした。
「注文の多い料理店」の解釈
「注文の多い料理店」を読み終えたとき、2人の男が食べられなくて良かったわ・・と安堵した人もいるでしょう。
ですが、なかには「なんだよ、助かったのか」と思った人もいるのではないでしょうか。
というのも、2人の男の態度はとても嫌な感じだったからです。
案内人には、横柄な態度をし、2頭の猟犬が死んでしまった時には、払った金を惜しむ言葉を吐きました。
このような態度をする男たちに対して、嫌悪感を抱く人もいるはずです。
しかし男たちは山猫軒で食べられることなく、危機一髪で助かります。
これは山の守り神がわざと助けたと推察します。
山の動物の命を、娯楽のために奪おうとする人間への警告として、わざと逃がしたのではないか。
そして、恐怖で歪んだままの顔について尋ねられるたびに、山で起こった恐ろしい体験を伝えることになるのです。
山猫は山の守り神の化身として、描かれたのではないでしょうか。
まとめ
「注文の多い料理店」は、子供のころに読んだ時にはわからなかったことがあります。
もしも幼い頃に読んで以来、ずっと読んでいない方はもう一度読んでみるとまた違う解釈が見えてくると思います、